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●開始!花火大会(?)
「よ~し、皆いるな?火の扱いには気をつけて存分に楽しもう」
千怜の言葉で花火大会が始まった。
「よし!じゃあまずは打ち上げだ!どんどんつけるぞ!」
勾燐が嬉々として叫び、次々と打ち上げ花火に火をつけていく。
ドーン
パーン
大きな音を立てて夜空に散る火花を見る皆。
その楽しみ方は様々だ。
「本当に、綺麗ね・・・・・・」
瑠美奈は自前の団扇を揺らしながら、優雅に見上げている。
千怜と珠姫はそのとなりで「おおー」とか「・・・っ!」と感嘆の声を上げている。
「あんまり大きいのは・・・・・・ちょっと怖い、から・・・」
と言って、はるか後方に陣取っているのは沙智。
そして陽人は未だに椅子に座り、茶と煎餅をほおばりながら見上げている。
陽人が一番くつろいでいる・・・。
火をつけている勾燐は、火をつけること自体を楽しんでいるようだった。
一通り打ち上げが終わると、鼠花火、蜻蛉花火、ロケット花火などを皆で始めた。
沙智は周りの様子を見て合わせようと思うが、火花が怖いようで「熱そう・・・・・・」と言ってみんなから少し離れていた。
「みんなに火花が飛ぶと・・・アブナイ・・・・・・でも、小さいのなら・・・出来る・・・かな・・・・・・?」
呟き、小さいものをやってみる。
やっているうちに段々と火花に慣れてきて、少しずつ他の者の傍でやるようになった。
段々と楽しくなってきたのか、花火を探って、ロケット花火を取り出し着火。発射する。
「すごい・・・・・・飛んだ・・・・・・」
すごい勢いで飛んでいく花火に驚く沙智。
「こんなに突然飛ぶんだ・・・・・・ちょっと、びっくりした・・・・・・」
「そうだろう?だがな、こうやってやるともっと凄いんだ」
いつの間にか沙智の近くに来ていた千怜は、右手にライター。左手には指の間にロケット花火をさしてそう言い、おもむろに火を点け始めた。
「おいおい、ロケット花火はそう持ったらだめだろ?ってか説明読んだか?」
ロケット花火は手に持ってはいけない。常識のことだ。だがそれを簡単に無視する千怜に、勾燐が近づいてたしなめた。
「ぬ、ぬ…?」
なかなか火がつかないライターに、イライラしていた千怜には勾燐の言葉が聞こえなかったようだった。
「く、不良品か。くそっ!」
女子あるまじき言動を発し、千怜はキれた。
「ええぃ、まどろっこしい!!こいつでどうだ?起動!…フレイムキャノン!!」
点火。舞い飛ぶ花火。
「ぉー、やっぱりこうじゃないと」
豪快に笑う千怜。何やら味を占めたらしい。
またしても指の間にロケット花火をさし、今度はくつろいでいる陽人に向けて火を点けようとしていた。
「わあぁぁぁ!!!それだけはやめろぉ!」
キれた千怜を呆然と見ていた勾燐が、慌てて止める。
「わ・・・姉様!?」
沙智も、それだけは阻止しなければならないことを察し、千怜を止める。
二人のおかげで何とかそれだけは阻止出来た。
餌食になりかけた当の陽人は、のんきに茶をすすっていた。
(っち・・・面白そうだと思ったのに。まあいい、それなら・・・)
今度は何を思ったのか、千怜は残りのロケット花火の山に、火を投げ入れた。
「・・・・・・っ・・・わ・・・・・・」
あまりのことに沙智は反応できず事の成り行きを見守り、勾燐は・・・。
「わーーーーーーーー!!!何してんだちーさーとぉーーー!」
頭を抱えて混乱という道を延々と走り回っていた。哀れ・・・。
壊れてるかのごとく豪快に笑う千怜は、もう責任やら団長とかなにもかも忘れて楽しんでる。
そんな危険地帯から離れ、瑠美奈と珠姫は共に小さな花火を楽しんでいた。
本来ならばこちらの風景が正しい花火大会なのだが、それを千怜に正せる者も、突っ込むことを出来る者もいるわけが無かった。
「花火って・・・どういう仕組みになってるの、かな・・・・・・」
千怜から離れ、花火の仕組みに興味が沸いた沙智は、みんながやっている傍でやり終えた花火を解剖し始めた。
「・・・うわぁ・・・すごい・・・・・・職人技・・・っ!」
思わず職人の素晴らしさを感じて感嘆。
それが危険なことだと唯一突っ込んでくれる勾燐は、暴君と成り果てた千怜を止めるのが精一杯だった。
いや、完全に止めることはできていないが・・・・・・。
故に、危険な花火解剖はもうしばらく続いたのであった。
●風流花火『線香』
「さ・・・後は閉めの線香花火だけだな・・・・・・」
勾燐が疲れた声で言う。
「・・・やっぱり・・・みんなといると・・・楽しい、な・・・・・・でも、もう無くなっちゃうんだ・・・・・・なんか、すごく時間が・・・早いような・・・」
線香花火を掴みながら、淋しそうに呟く沙智。
「淋しがることは無い。これからこのメンバーで色んな楽しさを味わっていくんだから」
正気に戻った千怜が、沙智の頭を撫でる。
沙智は猫のように、嬉しそうに目を細めた。
「こういう風に皆で遊ぶのも、なかなか良いわね・・・・・・」
線香花火に火を点け、瑠美奈はしんみりと言葉を紡ぐ。
隣では珠姫がこくりと頷いた。
「陽人、最後くらいやったらどうだ?」
勾燐が誘うと、陽人は「面倒くさい」と即答した。
恨みがましく勾燐が睨むと、ため息をつく。
「最後の一本だけなら・・・」
そして、残り六本。
一人一本ずつ持ち、一斉に火を点ける。
「落ちないで消えたら・・・・・・ネガイゴトが叶う・・・・・・」
どこかで仕入れた知識・・・いや、それはジンクスといったほうが近いだろうか。
呟いた沙智にならって、それぞれ願いは違うけれども、皆心の中で願った。
線香花火の、火種が落ちるまでのほんの数秒間。
静かで優しい時が流れた。
●終盤の罠
「さて、遊んだらお腹が空いただろう?おにぎりとお茶を作ってきたから、皆で食べよう」
ある程度の片付けも終わり、千怜がそう言いだした。
先ほどの線香花火で、しんみりとした気分になって別れがたくなっていた一同は(陽人を除く)、二つ返事でそれを承諾した。
「さぁ、光栄に思え。おにぎりだ。かつお、うめ、こんぶ、などなど」
そう言って一つずつ手渡しする。
無言で受け取った陽人に、勾燐は眉を顰めた。
「お前ずっと煎餅食ってたじゃねーか。それ食えるのか?」
「まあ、一つくらいなら」
呆れてものが言えない勾燐を放って、陽人はおにぎりを口にする。
「・・・あ、ボク鮭だ・・・」
沙智。
「私はかつおね」
瑠美奈。
「・・・・・・っ!」
これは珠姫。言葉になっていなくても表情で分かる。梅だ。
勾燐も大口で食べ、中身を見る。
こんぶだ。口の中にまだ残っているので声には出さない。
(まあ変な具とか、塩と砂糖間違えたなんてオチじゃなくて良かったぜ)
そう思った途端、勾燐の隣からぶほっという音が聞こえた。
「!?」
驚き皆がそちらを見る。そう、つまり陽人をだ。
「なっどうしたんだ!?」
聞いてもむせているばかり。しばらくまともに話せそうにない。
「・・・・・・くくく、あっはははは、引っ掛かっ・・・・・・ぐふっ、気管に米がっ・・・」
高らかに笑い、そして自業自得な目にあったのは千怜である。
陽人と千怜がむせている中、他のメンバーは悟った。
千怜が陽人のおにぎりに何か変なものを入れたのだと。
瑠美奈が二人にお茶を差し出し、二人は落ち着いた。
「千怜・・・・・・」
「っくくく・・・一つだけ豆板醤入れてたのよね。陽人か勾燐に行くようにしてたのよ。・・・っく、あっはははは!」
地の底を這うような陽人の呼びかけに、千怜はまた笑い出した。
陽人の雰囲気が、いつもより何億倍も怖いことに千怜だけが気付かない。
ほかのメンバーは、少しずつ距離をとり、逃げ出した。
そのあと、二人に何が起こったのかは、本人達にしか分からないのであった・・・・・・・・・・・・。
桐嶋 千怜 (b01805)
朱月 勾燐 (b02638)
片倉 陽人 (b03249)
鷹岡 沙智 (b06419)
雪山 瑠美奈 (b06640)
日月 珠姫 (b07706)
この偽シナリオは朱月勾燐の苦労と努力の結果完成した物です。
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そしてさぼてんラブです。
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この作品は、株式会社トミーウォーカーのPBW『TW2:シルバーレイン』用のイラストとして、桐嶋千怜が作成を依頼したものです。
イラストの使用権は桐嶋千怜に、著作権は東原史真に、全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。
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