忍者ブログ
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

私は恋をしていた。

恥ずかしながらアレの事を想うと・・・なんていうか、胸が苦しくなったり嬉しくなったりするわけだ。
それに、アレを目の前にすると自然と笑みも零れてしまう。
こんなにも幸せな気持ちで、こんなにも温かく、世界が広がるというのに。
それなのに・・・私は悲しさを覚えてしまう。

私の想いは届かない。
どんなに想っても、どんなに恋焦がれようとも、アレには添い遂げる相手が居て、私にはそれを邪魔する事は出来ない。
どうして私ではダメなのだろう、何故アレの傍に立てるのが私ではないのか?
素直に祝福する事が出来なくて、そんな黒い感情が私を支配していく。


なんて浅ましい。
頭では理解しているのに、心がそれを許してくれない。感情が理性を抑え付けてしまう。
悲しくて、寂しくて、悔しくて、諦めきる事が出来ず涙流し恋焦がれて・・・

どんなに想い続けても、それはもう遅くて、だけどそれでもこの想いを・・・禁じられた言葉を呟いてしまう。


私は、キミをお慕い申しております、と。
PR
一条のきらめきが夜に痕を残す。
それは冷たく鋭く、魂をも凍てつかせるほどの静かな怒気。

何が起きたのかも理解できない、何故こうなったかも理解できない、一つだけ理解できるのは剥きだしになった自身の命。
喉元を過ぎる空気は押し潰され、四肢は硬く縮こまり、ちぐはぐな動作は己が身の恐怖と絶望を晒す。

ただ、ただ、終わる事の無い感情の波を振り払うかの如く少女は必死に走り続ける。
立ち止まり身体を休める事は出来ない。感じるのだ・・・すぐ後ろに迫らんとする狂気の渦を。
その身体が疲れ歩みを止めた時、それは命の終焉を意味する。


そしてそれは今にも襲い掛かろうとしているのだ。


何度同じ事を繰り返してきただろうか、何度この引裂かれる痛みを味わってきた事だろうか、私は何度殺されればいい?
ああ、ここだ。私は知らず内にまたこの場所まで来てしまった。私の足は此処で止まり、そして此処で死に、此処からまた始まるのだ。

まだ死にたくは無い。生きたい、生きて・・・生きて生きて?
ああ、だけど望みが叶うのならば、
「だれかわたしをころして・・・にどとこのゆめをみないように。」

そうして私は醒める事の無い夢を抱き再び眠るのだ、この忌まわしき場所で。
落ちていく。
拡がる視界。眩いばかりの白から青へ。
落ちている。
感覚もなく、流れるまま吸い込まれるまま青い青い空へ。
 
それは「   」が見た最後の青。
それは「   」が残した最後の青。 
 
それは―――決して届かない青。

私は何故ココに居る?
どうして私はココに来た?

皓々と照らす月に酷く不確かに揺らめく月。
生暖かく肌に粘つく風は不快を煽る。

ココで何があったのか?
ココが何の場所だったか?

それを知る術はない。

ただ、ただ…今はこの身を漣と石の冷たさに―――

夢を見ていた。
そう、夢だ。

気が付くと私は見知らぬ場所に立っていた。周りは岩の壁、それと畳と黒いソファーが一つ。

意味が解らない。
何故こんな所にいるのかも、何故記憶にもない場所を夢で見るのかも…

しかし、コレは本当に夢なのか?
肌に感じる冷たさ、掌に伝わる岩の触感。畳も、ソファーも、それは本物と変わらない。

だが、こんな所にいつまでも佇んでいては何も始まらない。
私は歩き出す。外へ出るために―――


本当にわけが解らない。
外は一面が砂だった。いや、砂漠といった方がしっくり来るかもしれない。
空には青白く輝く月が二つ。…まぁ夢なのだからそういう事もあるかもしれない。
取り敢えず眼の前の砂の斜面を登り、高い所から自分のいる状況を把握することにする。
どうやら、私が目覚めた場所は洞窟だったらしい。

辺りは砂だらけだというのに、洞窟だけが一つポツンと寂しく在るだけ。
ひどく歪な世界。解ることは一つ。私はこの世界では異質だということ…

ま、なんにせよ。夜に出歩くのは危険な気もするし洞窟内で寝ることにしよう。
目が覚めたらきっと夢から醒めていることだろう。


洞窟内に戻り畳に寝転がりそっと目蓋を落とす。
静かな夜。誰も居ないのだから静かなのは当たり前なのだけれど…
そんな事を考えていると何かの音が聞こえてくる。
それは小さな鳴き声、それは懐かしい鳴き方。

身を起こし、声のする方に顔を向ける。そこには一匹の猫が―――

「…お前。」
猫は一直線に私に向かってきた。
何も知らない瞳で、撫でろと言わんばかりに頭を足に擦り付けてくるその猫を、私は恐る恐る撫でる。
手に伝わる温もり、指先に触れる細やかな毛の感触。それは私の記憶にあるモノと一緒だ。

大好きだった―――いつも一緒に居て、遊んで、疲れると日向で寝た。いつまでも居ると思っていた猫。
ああ、だけど、コレは夢だ。だって…この猫はもう既に、居ないのだから。

眼から涙が溢れ、そして―――
私は声を上げて泣いていた。猫を抱きしめる様に身体を丸め悲しみを吐き出すように…

「あああぁあぁあーーーぅあ、あああぁあ!!!」

私は十年前のあの日、泣くことが出来なかった。
死という概念を理解していなかったわけではない。ただ、泣くという行為が出来なかった。泣けば悲しみに心が潰れ、私はいつまでも死に囚われると思ったからだ。

だから泣けない。そうやって、私は心を押し殺し今まで生きてきたのに…
温もりは消えない。その存在に私はいつまでも泣いた。


そうして気が付くと私は目が覚めていた。辺りはまだ暗く何も見えないが…でも、ココは間違いなく私の居た世界だ。

夢は深層下に抱く願いだという。現実の私と夢の中の私は確かに繋がっていた。
胸には穴を穿ったように痛み、あの日泣けなかった分を泣くように…溢れる涙は―――いつまでも。

カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
プロフィール
HN:
桐嶋千怜
性別:
女性
職業:
霊媒士
趣味:
惰眠
自己紹介:
私はわがままですよ?
そしてさぼてんラブです。

=======================
 この作品は、株式会社トミーウォーカーのPBW『TW2:シルバーレイン』用のイラストとして、桐嶋千怜が作成を依頼したものです。
 イラストの使用権は桐嶋千怜に、著作権は東原史真に、全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。
=======================
最新コメント
[11/12  宗司]
[05/24 陽人]
[05/19 陽人]
[05/15 陽人]
[04/10 陽人]
最新トラックバック
忍者ブログ [PR]