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●オープニング
「よしゃ!皆!花火大会するぜ!」
結社『泡沫』にも少しづつ仲間が増えてきたある日の朝、朱月・勾燐(高校生ゾンビハンター・b02638)が唐突に言い出した。
突然のことで、一同沈黙に落ちる。
「服装自由で、花火持込自由な。どうせなら浴衣着て打ち上げとかやりたいが無理強いはよくねぇからな」
一同の返事も聞かず、どんどん決めていく朱月。
「・・・おい」
「ああ!そうそう、場所は校庭の一画借りれるように許可とっとくからよ!」
誰かが口を挟もうとしたのだが、朱月には聞こえていない。
「期日は9/3!皆それまで色々準備しとけよ!じゃあ俺、早速場所の許可取りに行ってくるぜ!」
言うが早いか、朱月はさっさと結社の外へ出て行ってしまった。
残されたのは、未だ呆然と事態を把握出来ていない者と、去り行く朱月を止めようと立ち上がったはいいが間に合わなくてそのまま固まってしまった者達であった。
「・・・・・・どうする?」
「やるしか・・・ないのでは?」
ぽつりと会話が成され、またしても沈黙が下りた。
●そして当日18:15~男性陣~
9月3日夕刻。
結社『泡沫』の扉の前では、三人の男子生徒がたむろっていた。
「花火・・・・・・買ってきた。みんなが楽しめそうなちょっと派手なやつと・・・飛ぶの・・・・・・あと定番だって聞いた・・・線香花火」
持っていたビニール袋を他の二人に見せるように軽く持ち上げたのは、鷹岡・沙智(中学生ファイアフォックス・b06419)であった。
走って来たのか、息が切れ切れだ。
浴衣を持っていないからと、彼は私服のゆったりとした服を着ていて、男ながら可愛かった。
今ここに団長がいたら、頭を撫でて可愛がっていたであろう。
「俺が持ってきたのは鼠花火とか蜻蛉花火、あとはロケット花火か・・・まあそんなところだ」
沙智に続き、自らの持ってきた花火の詳細を語る片倉・陽人(高校生霊媒士・b03249)。
少し面倒臭そうな彼は、浴衣を着るのも面倒だと言って沙智同様私服で来ていた。
ただ、こちらはいつもこんな感じなのだろうと納得させられるような、しっくりするラフな格好だ。
「おれは打ち上げ中心だな!」
そして最後、無駄に元気なのはこの話を提案し、ほぼ無理やり進めていった朱月・勾燐(高校生ゾンビハンター・b02638)だ。
三人の中で、唯一浴衣を着ている人物でもあった。
「ところで、先に行って準備とかしなくてもいいのか?」
現在は浴衣に着替えている女性陣を待っているところだった。
女性の浴衣は複雑で、当然ながら時間がかかった。
そう言った陽人は、その時間をただ待っているだけというのはもったいないと良いたいのだろう。
だが・・・。
「んーでもな、ちゃんと待ってろって言われたからなー」
女性に対して押しが弱い勾燐は(誰にでも弱いが)、言いつけを守るほうを選んだようだった。
陽人は小さくため息をつき、女性陣が中にいる結社『泡沫』の扉を見つめた。
●そして当日18:15~女性陣~
同刻、結社『泡沫』の部屋の中。
そこでは三人の女生徒が、楽しそうに浴衣に着替えていた。
「私は去年、受験勉強で忙しくて花火で遊べ無かったから・・・今年は良い思い出として残る様な花火大会にしたいわね」
帯結びに奮闘しながら呟いた雪山・瑠美奈(高校生魔弾術士・b06640)。
「そうだな・・・だが、何か不始末があったら団長の責任。ふっ、私が皆を纏め上げねばな」
苦戦しながらもすでに着替え終えていた団長・桐嶋・千怜(高校生霊媒士・b01805)は、瑠美奈に同意し、最後の方は自嘲気味に呟きながら、瑠美奈の帯結びの手伝いをしていた。
「よし、瑠美奈はこんなところだろう。あとは簪挿して終わりだ」
そう言って、もう一人の女子生徒・日月・珠姫(小学生符術士・b07706)の方へ振り向く。
「珠姫、そっちは・・・・・・準備万端のようだな」
水色に金魚柄の夏らしい浴衣を兵児帯で金魚形にしっかりと結っていた珠姫を見て、嘆息を漏らしながら千怜は呟いた。
「それにしても、まだ小学生なのにちゃんと着れて・・・すごいわね」
簪を挿し、持ってきていた団扇を持って近づいてくる瑠美奈。
「そうだな、帯もきちんと結わえれて。珠姫はすごいな」
悪意など何処にも無い素直な笑顔の千怜。
先輩二人に笑顔で褒められて、珠姫は頬を軽く朱に染め、少し俯いた。
どうやら照れているらしい。
その可愛らしい仕草に、先輩二人は胸がきゅうん・・・となったのを感じた。
●最終準備!
着替えが終わり、部屋から出てきた女性陣と合流した。
「・・・わ、みんな綺麗・・・・・・」
女三人の浴衣姿に思わずそう呟いたのは沙智だった。
それを皮切りに、浴衣談義が始まった。
「女ってよくこんな帯の結び方できるよなー」
などと感心する勾燐に、陽人が冷たくつっこんだ。
「こんな所で話をしてていいのか?花火、やるんだろう?」
至極最もな言い分に、勾燐だけでなく皆が黙り、さっさと場所を移すことにした。
借りていた校庭の一角に移動した一行は、とりあえず花火を出し合った。
鼠花火や蜻蛉花火、打ち上げにロケット花火といった派手目のもの。
後は定番の線香花火だ。
ロケット花火は千怜が大量に持ってきたため、沙智と陽人が持ってきた分も合わせると結構な数になった。
そして線香花火も、定番だからと何人も持ってきていた。
「こんだけありゃあかなり楽しめるだろ」
満足げにそれらを見下ろす勾燐。
「・・・・・・っ!」
バシャーーーン!!
突然、少し離れた所から液体が派手にぶち撒かれた音がして、一同そちらを振り向いた。
そこには、いつの間にそんなことになったのか、珠姫が地面に転がっていた。
すぐ側には大きな水溜りとバケツ。何があったのか容易に想像が付く。
千怜と瑠美奈がすぐさま側により、助け起こす。
特に怪我はなかったが、花火の安全のための定番であるバケツに水をちゃんと入れてこられなかったのが悲しかったのか、落ち込んでいた。
「落ち込まないで、もう一度、今度は一緒に汲んできましょう?花火は沢山あるから一つじゃ足りないし」
慰める瑠美奈の言葉に頷き、今度は千怜も混ぜて女子三人でバケツに水を汲みに行った。
「・・・・・・蝋燭、せっかく持ってきたから・・・・・・」
と、沙智が蝋燭を5本並べて立てた。
「“まっち”って・・・どうやって擦ったら上手くつくのかな・・・・・・?」
悪戦苦闘している沙智に、勾燐が助力を申し出たが、沙智は自力でやってみるとそれを断った。
ちなみに陽人は、我関せずとでもいうように、何処からか持ってきた椅子に座り、さらに何処からか出してきた茶と煎餅をほおばっていた。
「・・・あ、ついた・・・・・・」
何度もマッチを擦って、やっと火がつく。
「ろうを最初に溶かしてその上に・・・立てると・・・・・・あ・・・立った・・・・・・」
などと生活の知恵を発揮しながら、蝋燭に火をつけていく。
「・・・・・・誰か呪ってるみたい、だけど・・・・・・いっか・・・」
なんだか物騒なことを言っていたが、近くにいた勾燐は聞かなかったことにした。
丁度その後に水汲み組が戻ってきて準備が完了した。
後編へ続く
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そしてさぼてんラブです。
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この作品は、株式会社トミーウォーカーのPBW『TW2:シルバーレイン』用のイラストとして、桐嶋千怜が作成を依頼したものです。
イラストの使用権は桐嶋千怜に、著作権は東原史真に、全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。
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