白日たる。

幻影の古戦場を消滅させるため現地に赴き、無事に事を終え帰ってきた。
いつもと変わらないちょっとした旅、ただそれだけなのに…長い間、留守にしていた気がする。

慣れ親しんだ部屋はすぐそこ。

ただいま、
そんな柄にもない言葉を発してみても応える者はなく、ただ、開けっぱなしの窓から冷たい風が舞い込むのみ。

…
……
少しばかし積もったホコリ。
そこに人が居た跡はとうに無く、生きた匂いも、笑う声も、全ては消え失せ。

ゆらゆらと漂う白のカーテンが、それを現実だと物語っているようで…


私は、気づくのだ。
掛け替えのない、大切なモノは指の隙間から零れ落ちて…もう二度と戻らない、と。

それは白昼夢。
まだ、成すべき事をしていない私が見るには少し早い…遠い遠い夢。