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私が私であると世界を認識した時、目の前に広がっていたのは向日葵の如く大輪の笑顔だった。多分その時の私はその表情に見惚れていたのだろう。鮮烈なまでに私の心に残るそれは掛け替えの無い想い出の一つだ。

物言わぬ私に飽きもせず話しかけ、慈しみ育み常に共に在り続けていた存在。
それはこれから先ずっと続くモノだと思っていたものだ。

だが、別れというのは予期せぬ所で突然訪れるモノだ。

---

私が初めてアレと出会ったのはもう十年も昔のことになる。
ある事件を切っ掛けに遠く離れた南の地にて私たちは出会うのだ。


幼く、まだ十にも満たないであろう子供が私たちを見上げていた。
腰まで伸びた煤けたようにくすんだ灰の髪、大きく見開かれた赤い紅い瞳。濃い赤の着物を纏い、どことなく帯びる雰囲気は彼女とよく似通っていた。

ただ、ただ、じっと見つめる幼子。そしてゆっくりと促されるように…その小さな唇から悲痛なまでの叫びを吐き出すのだ。
そして彼女は静かに告げる。別れの言葉を…

「キミを連れて行くことは出来ない」
幼子は問う。必死に離すまいと、出会って幾許と経たない者に縋りつくのだ。それは見ていて痛々しくなるほどの抗い。
「そうだ。私の大事な友をキミに預けよう、名はウィル…キミと私を繋ぐ絆だ」
彼女は約束を交わす。いつかまた出逢う時が来れば、共に旅をしよう、と。


私の声は届かない、決してこの想いが届くことは無い。

---

貴女は今どうしているだろうか。
あの小さな幼子も今や出会った頃の貴女と変わらぬ歳になった。

私は、いや、アレも。
遠く夕焼けに霞む貴女の背を、今でも追い続けている。
あとどれほど待てば逢えるのだろうか。あの笑顔を見れるのはいつの頃になるのだろうか。


約束は、
まだ果たされていない。
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プロフィール
HN:
桐嶋千怜
性別:
女性
職業:
霊媒士
趣味:
惰眠
自己紹介:
私はわがままですよ?
そしてさぼてんラブです。

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 この作品は、株式会社トミーウォーカーのPBW『TW2:シルバーレイン』用のイラストとして、桐嶋千怜が作成を依頼したものです。
 イラストの使用権は桐嶋千怜に、著作権は東原史真に、全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。
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